朋子の柔らかな乳房を腹のあたりで感じた。「僕はどこにいるのだろうか。」と僕は言った。
朋子が目を覚まし「おはよう。」と小さな声で言った。「熟睡しちゃんみたいね。」
僕は黙って白い天井を見つめた。カーテンの隙間から漏れた朝の光が格子状に揺れていた。
「どこまで覚えているの?」と朋子が何かを訴えるように聞いてきた。
「君を玄関まで送ったよね、たしか」
「そうよ」と朋子は言った。「私の部屋で飲みなおすことになって、あなたウイスキーを4杯か5杯は飲んだわ。しかもグラスをなみなみと満たして。」
「覚えていないな。この部屋で君と飲みなおした」
「いいえ、私はお酒は飲まなかった。そんなに強くないし、コーヒーですっきししたい気分だったから。」
「僕はウイスキーを、となりで君はコーヒーを飲んでいた」「そして?」と僕は言った。
「あなた、まさかそのあとのこよもまるっきり覚えていないの?ねえ、ほんと、それ」
僕は何も言えなかった。何も覚えていないのだ。どちらかといえば夢を見ていた気がする、少し間をおいて僕は言った。
「とても眠そうだったから、ネクタイ外してシャツも脱がせてベッドにつてれいったの、あなたのことを。」
「それから?」
「なりゆき上、そのままあなたに抱かれたわ。深い海の底みたいに静かに大きくあなたが私を満たしてくれた。」なんにも覚えていないなんてと朋子は思った。
「これまできみとしたことあったけ?迷惑じゃなかったかな。」
「もちろん、別にそのことを気にしなくてもいいわ。というより、そんなふうに言われてもいい感じしないものね」
僕はそれ以上何も言わず、静かに天井を見続けていた。何が起きたのだろう。
しばらくして、ふたりともベッドから出て、それぞれシャワーを浴びた。
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