3. セロトニン

「お医者様には診てもらったの?」

「医者には去ることの出来ない、僕を脅迫する観念のおゆなものが毎晩襲ってくると説明した。」と僕は言った。

僕は心療内科に通い、事故の状況や自分自身の様子をできるだけ詳しく医者に説明した。でも、説明しきれないかもしれないという不安もあったので、あらかじめ紙に説明したいことを箇条書きにし医師に渡した。

そして、心療内科に通ううようになって約半年ほどになるが、今でも治療は続いている。

もしかしたら、もう薬を飲まなくてもいいのかもしれないと自分では思うこともあるのだが、勝手な判断で服薬を中断したら、またあの強迫観念が襲ってくるかもしれないという思いもあり、忠実に決められた通り薬を飲み続けている。病院にも毎週一回必ず通ってきたし、いちども薬を飲み忘れたことはなかった。

最初の3か月は不眠治療のための薬や、気持ちを穏やかにするための薬く加え、強迫観念に襲われたときのための頓服(とんぷく)薬ももらっていた。いまは頓服薬は必要なくなったので、不眠治療薬と心を穏やかにする薬だけ飲み続けている。

その心を穏やかにする薬は、変な話かもしれないけど、とても気に入っている。それは、これまでの人生で味わったことの内容な幸福感を僕にもたらしてくれるからだ。

医師僕のいうことを丁寧に聞いてくれたし、日常生活のアドバイスもしてくれる。そして定期的に血液検査があった。

僕は自分の心が回復してくるにつれ、通院のたびに担当医師に治療のなかで生じた疑問をいろいろと質問でするようになってきた。そして、血液検査で何を調べるのかを聞いてみたことがあった。

僕を担当してくれる医師はひとりだけで、たまたま今日は違う医師ということはなかった。そして、そのお医者さんはいつも穏やかに、わかりやすく僕の質問に対する答えと説明してくれる。

定期的な血液検査では、肝臓やらコレステロールやら様々な身体の様々な状態をしらべるのだか、メンタル的なものは体の健康所帯に大きく左右されるのだ。

「脳が必要としている成分にセロトニンというものがあるんだ」

「そのセロトニンは血液検査でも、適切な量とかを調べることができのね。」

「微量な成分なんだけど、ちゃんと測定してもらえる。」

「それはどんな作用を体とか精神に与える成分なの?」

「なんでも脳の機能を正常の整えてくれるらいい。」と僕は答えた。「心を穏やかにしたり、創造性や集中力を高めたり、安眠のために必要だったり、そんな大事なもの」

「それが不足していたということなのね、事故のストレスで。」

「今から思い返せば、不足していたということが理解できる気がする。」

「例えばどんなふうに?」

「不安が心を支配し悲観的になり、やる気がなくなるっていう感じ。イライラしやすくもなる。」

「お医者様のアドバイスでセロトニンがちゃんと分泌されるようになるのかしら?」

「それもあると思うけど、トリンテリックスを毎日決まった時間に忘れないように飲むことを医者から念押しされた。」

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