観念の影響を小さくすることは簡単ではありません。個人が生まれてから経験した数々の記憶もさることながら、人類として長い年月を経て刻み込まれた本能的な習性は、その鎌首をすぐにもたげてきます。感情エネルギーはとても強く、観念は宿主を脅迫してでも、その人を動かそうとします。
しかしながら、長い時間の中で獲得した脳の「私」という機能は、決して理想的な進化を遂げてきたわけではなさそうです。
脳により投影された自我という虚像を「私」と信じ込み、カルマを情報源とした脳の瞬間無秩序な反射・反応に操られているのが人間の姿です。
抑止力を発揮させる
もし今後、「私」によらず自律的な変化を望むとすれば、「私」の姿を常に俯瞰し、観察し続けるしかありません。カルマを忘却の彼方へ追いやり、苦しまず安穏とした状態を、出来る限り継続させることが大切です。
そして、加えて大切なことがもうひとつあります。それは「私」がへばり付き、感情や観念に押し流されないようにするためのマイルールを持つことです。
ともすると、人は脳の習性に押し流され、「私」が簡単に復活してしまいます。それを事後に観察するだけではなく、自己を律するマイルールを持つことで「私」を抑止します。
俯瞰し、観察し続けることは、負のカルマの堆積を抑制する手段です。それと同時にマイルールを持つことで、徳という正のカルマを積み上げることが可能となります。
苦しむ方向へ傾きがちな意識を能動的に修正し、慈愛に満ち、徳に溢れた意識へと方向付けるのです。
ルールの内容は?
マイルールの内容としては、苦しみから解き放たれた後、どのようにありたいのかという視点で決めればよいと思います。諸行無常に移り変わる物事を、安穏とした心持で、平常心で受け入れられるようにマイルールを設定するのです。
あまり多くのルールを作る必要はりません。たくさんあると、都度メモしたルールを読み返さなければなりませんし、実行に移すことが難しくなります。ひとつかふたつ、多くて3つもあれば十分です。
例えばこんな内容
例えば、いつでも簡単に実行できるように、以下のようなマイルールを作ってみてはいかがでしょうか。
・自分自身を傷つけない
・怒りがわいてきたら、心の俯瞰を思い出す
難しい条件は必要ありません
すぐに思い出して、実行できることが大切です。
一定の期間やってみて、簡単にクリアできるようになったら、次のステップを踏めばいいと思います。ステップアップしていくに従い、自分のみならず、相手に対しても優しく接する事ができるようになります。
他人をコントロールしようとするのではない
他人のカルマを直接コントロールすることはできません。でも、自分自身の心が慈愛に満ちたものであれば、それが相手にも好影響を与えるはずです。それにより、間接的にではありますが、相手の悪業をも減らすことができるでしょう。
そうなれることを心に描きながら、「他人に優しく、たとえ怒りを向けられても慈悲の心で臨もう」といったマイルールが設定できれば、ステキですね。
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